AIビルダーは2026年にどのチェーンで作るべきか
まず結論
「どのチェーンが最強か?」という問いは、面白いですが、実務ではあまり役に立ちません。
本当に使える問いは、もっと具体的です。
そのAIプロダクトは、何を最適化したいのか?
配信か、決済か、リアルタイム性か、検証可能性か、開発者体験か、あるいはAI向けのインセンティブ設計か。
この問いに変えると、チェーン選定はかなり実務的になります。
私たちの見方:思想ではなく“仕事”で選ぶ
SLYMOON では、チェーン選定を次の5つの仕事で見ます。
- 消費者向け配信
- AI/エージェントの支払い
- 高速なトランザクションループ
- 検証可能性・プライバシー
- AIネイティブなインセンティブ市場
Base — 配信と決済とエージェント
Base の良さは、配信と決済を同じ文脈で語りやすい ことです。
公式ドキュメントの情報設計自体が、Payments と Agents をかなり前面に出しています。
つまり、Base は「単に安いチェーン」ではなく、
“AIアプリを流通させ、収益化させる” 文脈で見やすい。
もしプロダクトの仮説が、
「AIアプリに課金可能なインタラクションを埋め込む」
なのであれば、Base はかなり有力です。
Solana — 高速ループが欲しい時に強い
Solana の公式ガイドは、AIエージェントが何をするかをかなりストレートに書いています。
- トランザクション実行
- ブロックチェーン活動の監視
- スマートコントラクトとの相互作用
つまり、高速で繰り返し動く処理 と相性がいい。
リアルタイム性、低い取引摩擦、細かなマシンアクションが重要なら、Solana は強い選択肢になります。
NEAR — 検証可能性が主題になる時
NEAR のAI文脈が面白いのは、trust / verification / private AI をかなり正面から扱っていることです。
もし必要なのが、
- 検証可能な実行
- chain signatures
- multi-key management
- private inference
- enterprise向けの説明可能性
であれば、NEAR の見え方は変わります。
すべてのAIサービスに必要とは言いません。
しかし、企業向けの高信頼エージェント ではかなり意味があります。
Arbitrum Stylus — 実装経済性が変わる
Stylus が面白いのは、“どの機能があるか” だけではありません。
Rust や C/C++ を含む WASM 系の開発資産を使いやすい ことが大きい。
EVM互換でありながら、Solidity 一択ではなくなる。
これは、チームの既存能力によってはかなり重要です。
勝者が決まる話ではありませんが、
エンジニア組織との相性 という意味で強い。
Bittensor — 通常のアプリ配信ではなく、AIのインセンティブ市場
Bittensor は普通の“チェーン上のアプリ”として見るとズレます。
Subnets は、AI関連のデジタル商品を作り、測定し、報酬を配るための競争型インセンティブ市場 として理解した方がいい。
つまり、Bittensor は UI/UX の話より、
AIワークそのものを市場化する 話に近い。
これは、研究・モデル評価・データ処理・特殊AI機能などを、ネットワーク単位で組みたい時に面白い。
実行チェーンと資金回廊は分けて考えるべき
2026年の設計で一番重要な変化の一つは、
どこで実行するか と どこで資金を動かすか を分けて考えやすくなったことです。
つまり、こうです。
- プロダクトの実行はあるチェーン
- 集金や配信の都合は別のチェーン
- treasury やネイティブUSDC移動は広い corridor レイヤーで扱う
この視点を持つと、「単一チェーン前提の議論」がだいぶ雑に見えてきます。
判断表
| やりたいこと | まず見るチェーン | 理由 |
|---|---|---|
| 配信しやすいAIアプリ + 課金 | Base | Payments / Agents の方向性が強い |
| 高速な agent loop | Solana | 実行速度とAI agent 文脈 |
| 検証可能な enterprise agent | NEAR | private AI / verification の方向 |
| Rust/C++資産を活かすEVM開発 | Arbitrum Stylus | WASM系開発経済性 |
| AIのインセンティブ市場 | Bittensor | subnet 構造 |
SLYMOON の言い方
「最強チェーン」「勝ちチェーン」といった言葉は、短期的には伸びても、すぐ腐ります。
SLYMOON が取るべき立場はもっと実務的です。
- 用途で選ぶ
- 実行と資金回廊を分ける
- チェーン名ではなく仕事で比較する
- どのレイヤーで使うかを示す
これなら、レポートにも動画にも案件化にもつながります。
結論
2026年の成熟したAIビルダーは、
「どのチェーンが最強?」ではなく、次を聞くべきです。
- どこでユーザーに届くのか
- どこで支払いを処理するのか
- どこで高速性が要るのか
- どこで証明が要るのか
- どこでインセンティブ設計が主役になるのか
これが、本当のチェーン戦略です。
Source register
- Base Docs — https://docs.base.org/
- Payments and agents direction.
- Solana Guide: Building AI Agents for Solana — https://solana.com/developers/guides/advanced/ai-agent-guide
- Official framing for AI agent activity on Solana.
- Solana Ecosystem Report — https://solana.com/news/solana-ecosystem-report-february-2026
- Official ecosystem narrative around stablecoins, payments, AI and agentic finance.
- Arbitrum Stylus Gentle Introduction — https://docs.arbitrum.io/stylus/stylus-gentle-introduction
- WASM-compatible smart contract path.
- Arbitrum Stylus Quickstart — https://docs.arbitrum.io/stylus/quickstart
- Developer workflow for Stylus.
- NEAR AI and NEAR — https://docs.near.ai/near-ai-and-near
- Verifiable agent stack.
- Bittensor Subnets — https://docs.learnbittensor.org/subnets/
- Incentive-market model for AI work.
- Circle Supported Blockchains — https://developers.circle.com/stablecoins/supported-blockchains
- Expanding USDC corridor and chain coverage.